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青嵐

本やゲームの感想などを書いてます。
(時々腐女子な発言をしますので、意味のわからない人、嫌いな人はご注意を)
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フリーター、家を買う。

フリーター、家を買う。



へたれ男の成長と家族の再生物語。



誠治は、そこそこの私大を卒業して、そこそこの会社に入ったが、馴染めず3ヶ月で退社。一応ポーズで就活は続けていたが、家にいれる食費と遊ぶ金ぐらいはバイトで何とかなったので、小金がたまったら辞める、嫌になったら辞める、といった気軽なバイト生活をおくっていた。

酒を飲んでは説教をする父親と食卓を囲むのが嫌で、一家団らんを避け、バイトは夜シフト、バイトの無いときは部屋の外に食事を運んでもらうという、昼夜逆転&家庭内別居生活。典型的な、だめっぽいフリーターだった。



そんなある日、突然、突きつけられたのは、精神を患い壊れたような母親の姿だった。

婚家から戻ってきた姉は「アンタとクソ親父のせいで、お母さんがこうなったのよ」と弾劾する。

原因はいろいろあるが、家族の団らんを避け、調子の悪い母親の様子にもまったく気づいていなかったことは事実。グウの根もでない。



心を入れ替え、母親の世話をし、気合いを入れて就職活動も再開するが、そう簡単に全てがうまくいく訳もなく、ことあるごとについ言い訳を口にする誠治。



誠治の甘ったれ加減が自分をみているようで情けないのと、お母さんの様子が切なくて重いが、有川節の優しさと、どん底から再生していく希望の光が先へ先へと読み進ませる。



誠治の就職活動の様子も、ダメな就活と、できる就活、採用者はどこを見ているのか、といったところが具体的で面白かった。



後半の生き生きと仕事をしている様子や、有川節に欠かせない恋愛要素(今回は少な目だけど)、書き下ろしの短編もGood。



甘ったれで情けなかったけど一念発起した長男に、厳しくも優しく男前なお姉さん、諸悪の根源だけど等身大の人間として当たり前すぎて憎めない父親、家族を守るためにがんばり続けて精神を病んでしまった優しい母親。



一人一人は長所も短所もある人間だけど、家族を大切に思う気持ちが絆となり、家庭をつくってるんだなーと改めて思う。



作中に、「いいじゃないか。自分が一番かわいくても。それでも家族をだいじにしてくれるなら。」というような表現があって、あーいいな、と思った。

自分のことしか考えないようなのは最低だけど、自分のことが1番、家族のことが2番、その他の親しい人たちが3番で、7番ぐらいに人類愛とか博愛とかでもいいんじゃないかなーと勝手に発展させてみる。

自己犠牲は素晴らしいかもしれないけど、聖人じゃない身にはそうそうできることじゃないし、それがしんどくて無理してるようでは長続きしない。自分を大切にしつつ、ちゃんと人の事も考えられるようなのがいいんじゃないかなと。



自分は、ちょっと自己中すぎて、まだまだ、だけど(^_^;)
author : Kazamine | comments (0) | trackbacks (0)

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