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青嵐

本やゲームの感想などを書いてます。
(時々腐女子な発言をしますので、意味のわからない人、嫌いな人はご注意を)
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ミレニアム

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上他 





スウェーデン発のミステリー三部作(全6冊)

評判がよかったので図書館にいれたのだけど、1巻を手にとったら止まらなくなった。これはミステリー好きにはオススメしやすいかも。



主人公は2人。隠された悪を明らかにすること、怠惰なジャーナリズムを叩くことに使命感を覚える正義のジャーナリスト・ミカエルと、凄腕の調査員だが、全身をタトゥーとピアスで武装し、見た目はガリガリにやせた少女にしか見えず、謎も多いリスベット。



1巻は大物実業家の悪を暴こうとしたミカエルが逆に名誉毀損で有罪になるところから始まる。第一線を離れ、鬱々とするミカエルのもとに持ち込まれる過去の失踪事件の調査依頼。最初は気が進まなかったミカエルが事件の解明に夢中になっていくにしたがって、読んでいる方も引き込まれていく。

一方で、ミカエルの身辺調査を依頼され、それを完了したリスベットは、ミカエルのことで知らないことはないという状態で、思いがけずミカエルの仕事を手伝うことに。

人間だれしも秘密にしておきたいことがあり、それを暴かれれば嫌がるものだが、あっけらかんとしたミカエルの態度に戸惑うリスベット。隠すことが何もないかのようなミカエルと隠し事だらけのリスベット。対照的な2人だが、協力しあうことで、過去と現在をつなぐ謎が明らかになっていく。



2巻では、リスベットに焦点が移り、その生活や過去が次第に明らかになっていく一方で、殺人事件が起こり、それを捜査する警察小説の様相を見せる。独自に調査するミカエルの執念を応援したい。



3巻では、さながらスパイ小説のような公安と警察とジャーナリストとの探りあい、騙し合い。そして裁判所での対決シーンと、1巻から3巻まで、すべてがつながっていながら、別々の様相をみせる展開が飽きさせない。



登場人物は多いが、それぞれの個性を際立たせる記述があって、それが邪魔にならず、全員がちゃんと生きているのを感じさせている。名前は覚えられなくても、要所要所でちゃんと個性にあった行動をしているので、登場人物の多さによる混乱も少ない。というかなじみがないせいか似たような名前ばっかりに感じたが、名前で覚えてなくてもなんとかなった(汗



全編を通して、性別や人種による偏見、差別に厳しい目を注ぐ著者の態度がはっきりと現れている。特に女性に対する男性による偏見、軽蔑、暴力をくり返し描き、それに対抗する女性たちを描いている。その象徴がリスベットであり、そのハードボイルドな生き方には憧れる(あまりにも辛いので、そういう境遇にはなりたくないが……)

現在、1作目の映画が公開中らしいので、どういう風に描いたのかはちょっと興味がある。



しかし、作者が急逝し4作目以降を読めないのが残念。冥福を祈りたい。
author : Kazamine | comments (0) | trackbacks (0)
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